魔王スサノオ降臨

Ⅴ、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の怨念


1週間後、大江山(オオエヤマ)山中の奥深くで、燃え続けた火が、ついに消えた。
3つの影の目の前に置かれている、小指大の塊。
ツヤツヤした褐色の塊である。

これでいいのか?
これを作るために、あんな危険を冒したんだな。
しかし、これはいったい何なのだ?
3つの影の1つが答える。
これは、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の怨念だ。
この怨念が、世界を滅ぼし、大王様を甦らせるのだ。

人間界に伝わる伝説では、須佐之男命(スサノオノミコト)が八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を打ち取り、助けた姫を嫁にして出雲の地に住み着いたとなっている。
そうではないのか?
いいや、事実だ、そこまでは・・・
しかし、その続きがあるのさ。
実は、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を須佐之男命(スサノオノミコト)が退治をしたが、その怨念までは消せなかった。
それどころか、最後の1尾が断末魔で吐き出した毒に、心身共に侵されてしまったのだ。
その結果が・・・フフフ。
因縁とは、恐ろしいものよのう。
魔界と天界が、このように繋がっていようとはな。
どういうことなんだ?
それは、我が魔族が、人間界を滅ぼした時に全てわかる。

この八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の怨念はな、今は小さなただの石塊だが、本当は生きているのさ。
果てし無い欲と野望を持ち合わせた人間に取りついて、その人間を支配する。
取りついた人間を操り、この世界を破壊させるために動かす。
そして、その人間の野望成就が最高潮になった時、怨念の塊として復活するのだ。
その時が来るまで、じっと待っているのだ。
その資格を持った人間に巡り合うためにな。

さて、この復活とは、何を意味しているのか?
八岐大蛇(ヤマタノオロチ)ということは、怨念は8つのはずであるが、何故3つしかないのか?
八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の復活が、何故、魔界の大王の復活となるのか?
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