ナックルカーブに恋して
「ここだけの話、地区大会の時から、プロのスカウトからも誘いはあって。でも、監督に相談したら、僕はすぐにプロに入るよりも、大学か実業団でもう少し力を付けた方がいいって言われて、僕もそう思ったんだ。」
高校からプロ入りしても、わずか数年で戦力外通告を受ける選手もいる。
実力は確かにあるが、それ以上に話題が先行している状況でのプロ入りは、避けた方がいいという判断だろう。
「それでね、瑠衣のお父さんにも話を聞いてみた。」
「え?お父さん?」
「そう、少し前に誘われてたからね。卒業したら、うちに来ないかって。」
「それで?」
「うちのチームにぜひ、って言われるもんだと思って訪ねていったらさ。話が来てるなら、H大に進んだ方がいいって言われて、正直驚いた。」
「どうしてだろ?」
「お父さん曰く、H大の監督は投手を育てるのが上手いんだって。特に、僕みたいな速球派は、もっと力まずに投げられるように指導してもらった方が良いって言われたよ。」
父は自分のチームに有望な選手をスカウトするのが仕事だ。
だけど、その仕事よりも、倉木君が成長する方を選んだのだ。
我が父ながら、誇らしい。
「感動して、つい瑠衣とのこと言っちゃったから、ごめんね。」
「え?」
「付き合ってるのバレてるから、よろしく。」
笑顔で舌を出した彼を、思わず睨んでしまった。
何てことを。恥ずかしくて、当分実家に帰れそうにないじゃないか。
高校からプロ入りしても、わずか数年で戦力外通告を受ける選手もいる。
実力は確かにあるが、それ以上に話題が先行している状況でのプロ入りは、避けた方がいいという判断だろう。
「それでね、瑠衣のお父さんにも話を聞いてみた。」
「え?お父さん?」
「そう、少し前に誘われてたからね。卒業したら、うちに来ないかって。」
「それで?」
「うちのチームにぜひ、って言われるもんだと思って訪ねていったらさ。話が来てるなら、H大に進んだ方がいいって言われて、正直驚いた。」
「どうしてだろ?」
「お父さん曰く、H大の監督は投手を育てるのが上手いんだって。特に、僕みたいな速球派は、もっと力まずに投げられるように指導してもらった方が良いって言われたよ。」
父は自分のチームに有望な選手をスカウトするのが仕事だ。
だけど、その仕事よりも、倉木君が成長する方を選んだのだ。
我が父ながら、誇らしい。
「感動して、つい瑠衣とのこと言っちゃったから、ごめんね。」
「え?」
「付き合ってるのバレてるから、よろしく。」
笑顔で舌を出した彼を、思わず睨んでしまった。
何てことを。恥ずかしくて、当分実家に帰れそうにないじゃないか。