ナックルカーブに恋して
投球練習を終えて、境君は打者に向けてテンポよく投球し始め、簡単にツーアウトを取った。
そして、迎えるバッターは主砲。
フルカウントから投げた球は、大きくカーブを描いて、やや危なげながらミットに収まった。
その瞬間バットが宙を切る。
「き、きまった~!」
「これぞ、ナックルカーブ!」
魔球と言われる球で三振を取り、鮮やかに初戦勝利をもぎ取った。
スタンドは少ない人数ながらも、大いに湧いた。
気づけば、浜中君はすっかり興奮している。
「今年こそは、甲子園行けるかもしれん!」
「まだまだ、初戦だよ。」
「いや、あの球は倉木の再来だろ。」
「確かに、良い球だった。」
二人で散々盛り上がった後で、浜中君が思い出したように、ふと笑って言った。
「当たり前か…あの、倉木直伝だからな。」
彼の視線の先、バックネット裏の最前列にいる人物は、笑いながらこちらに手を振っていた。
それは、六年前。
あの甲子園のマウンドで見たのと同じ。
眩しくはじけるような笑顔だった。
そして、迎えるバッターは主砲。
フルカウントから投げた球は、大きくカーブを描いて、やや危なげながらミットに収まった。
その瞬間バットが宙を切る。
「き、きまった~!」
「これぞ、ナックルカーブ!」
魔球と言われる球で三振を取り、鮮やかに初戦勝利をもぎ取った。
スタンドは少ない人数ながらも、大いに湧いた。
気づけば、浜中君はすっかり興奮している。
「今年こそは、甲子園行けるかもしれん!」
「まだまだ、初戦だよ。」
「いや、あの球は倉木の再来だろ。」
「確かに、良い球だった。」
二人で散々盛り上がった後で、浜中君が思い出したように、ふと笑って言った。
「当たり前か…あの、倉木直伝だからな。」
彼の視線の先、バックネット裏の最前列にいる人物は、笑いながらこちらに手を振っていた。
それは、六年前。
あの甲子園のマウンドで見たのと同じ。
眩しくはじけるような笑顔だった。