初恋の甘い味
「着きました」
「ありがとう」
ガチャ
「「「お帰りなさいませ。お嬢様」」」
「ただいま」
家に帰るとずらりと並んだ使用人達。
長い廊下を通り、エレベーターに乗り込んで6階を押す。
チーン
赤い絨毯を敷き詰めた廊下には私の部屋しかない。
指紋検証やパスワード入力など強力なセキュリティを解いて部屋に入ると一目散にベッドにダイブ。
「はぁ~、今日も疲れた…」
「お疲れ様です」
これは私専属執事の守山(もりやま)。
なんでもそつなくこなす完璧イケメン♪
こんなんでもまだ20代なんだって。
私の身の回りの世話からスケジュール管理、送迎までありとあらゆることをしてくれる。
「今日はなにがあったっけ」
「今日は7時から旭山様との会食が入っております。場所は池袋の高級老舗料亭です」
「スイーツは~?」
「食後のデザートとしてバニラアイスがつくそうです」
「うぅ…。仕方ない…。アイスのためだ。頑張るか…」
「それまではお勉強の時間です」
「……げ」
守山は私の教育係も兼任している。
優しくて教え方も上手くて解りやすいんだけどスパルタなんだよ!?
もう、怒ったらちょー怖い!!
どす黒いオーラを放って無言の圧力かけてくるの!
だから逆らえない。
私が主人のはずなのになぁ…。