平均女子だって恋をする
放課後にて
「えっと…きょ、今日は英語からだっけ?」
あー、佐恵が変なこと言うから意識してどもっちゃうよ…。
是永くんに変に思われないといいなぁ。
「おう!オレ、文法理解できてないのか上手く訳せねーんだよ」
「じゃあ、このページのポイント、この文で解説するね。これは…」
うん。英文に集中しよう。
変に意識しないですむよね、きっと。
あー、是永くんって、よく見るとまつ毛長いんだなぁ。実はキレイな顔立ちで、きっとお母さん似なんだろうなぁ…
って、私、何考えてんの!?
英文に集中だってば!
「ーっい、おーい!神崎ー。」
「ふぇっ!な、何?」
「さっきから呼んでんじゃん。聞けよー」
「ご、ごめん!考えごとしちゃってた…」
「いいけどよー、なに考えてたの?」
!?
い、言えるわけないじゃん。。
ごまかさなきゃっ。
「え、えっと…テストもうすぐだなぁって…」
「あ、あぁ…。さすがにテスト一週間前からは自分の勉強しなきゃだよな。
今週中には追いつくようにするからさ、それまでは勉強見てくれよな」
「うん。もちろんだよ。私も復習になっていいし」
そうだ。当たり前だけど、もうすぐこの時間も終わりなんだよね。今週で終わり。もう是永くんと2人でいる時間もなくなるんだ…。
あ、なんか……
『イヤ』だ。
でも、授業内容追いつくまでという約束だし、私がつなぎとめておける理由なんてない。
これは、独占欲?
わたし、是永くんを独り占めしたいのかな?
つまりは…
「おーいっ!今日の神崎は、ぼぉーっとしてるなぁ」
少し困ったような苦笑いで是永くんが私を見てる。
私は慌てて今の考えを心の奥に押し込んで、いつも通りの自分を探して演じた。