平均女子だって恋をする
家の最寄り駅の三ツ沢駅は、このあたりではデパートや居酒屋、ゲーセン、カラオケなんでも揃っていてわりと栄えている所だ。
当然、通学・出勤ラッシュ時で駅前は人でゴミゴミしている。
わたしは香水臭いおばさんやハゲかけのオヤジ、他校の学生たちでごった返している中をすり抜け、佐恵が居そうな待ち合わせポイントへ向かうと、人にぶつからないよう端っこで英単語集を見ている佐恵を見つけた。
「佐恵っ!おはよー。待った?」
佐恵はわたしを見ると、英単語集に暗記用の赤いシートをしおり代わりに挟みカバンにしまい、
「おはよー、アリサ。そんなに待ってないよ。
この時間の方が混んでるよねー。いつも朝練で早いから変なカンジっ」
そういうと、珍しく一緒に登校することに照れくさそうに笑って
「じゃあ、行こうか」
改札口を指差して言った。
佐恵も久々に誰かと登校するのが嬉しいのかな?
そうだとすれば、昨夜に思いきってLINEで誘っておいて良かったと、わたしも嬉しくなる。