平均女子だって恋をする


ふと見上げると校舎と校舎をつなぐ渡り廊下に設置されている大きな時計が目にはいった。
時間は、休み時間があと10分で終わることを告げている。
もう少ししたら教室に戻らなければならない。


そこへ、日に照らされて栗色に見える髪を風になびかせ、透き通るような白い肌、嫌味のない赤を唇にさした三年生らしき大人びた綺麗な先輩たちが渡り廊下を歩いてきた。


あんな風ならわたしだって少しは自信持てるのに。憧れるなぁ……。



……あっ!


「ねぇ、佐恵!!わたしもっと女子力あげていこうと思うの。可愛くなりたいっ!
そしたら自信も少しはついて劣等感に悩まされないのかなって思うんだけど…ムリかなぁ!?」

あさっての方向を向いていたわたしは、急に振り返ると佐恵の腕を掴んで言った。


「女子力って……。アリサがやる気になったのは良いんだけど、具体的に何をするわけ?」

わたしの勢いに押され、引き気味に佐恵が聞いてきた。


「わたし、これまで見た目に気を使ってなかったから、お化粧や髪や服のこと研究してみるっ!バイトも始めて経験値上げてみるよっ!」


「あははっ!何ソレ!?いいね、相談にはのるよっ!」


「うん!いろいろ教えてねっ」



なんか、やる気出てきたぞ。


帰りにファッション誌買って帰ろう!

オシャレな中学時代の友達に連絡とろう!

バイト先を決めようっ!









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