No.1ガール〜桜の姫〜①
理「私もそろそろ行こうかな。…翼、大丈夫?」
陸玖を見送った後、理央が俺の顔を覗き込む。
大きな瞳が俺を見上げる。つまり上目遣い状態。
それに思わずドキッとしてしまった。
こいつ、分かってやってんじゃねえんだよな…。
無自覚だからタチが悪い。
翼「あぁ大丈夫だ。心配かけて悪いな。」
理「ううん、それなら良かった。あんまり無理はしないでね?」
翼「あぁ。」
二人の間に少し沈黙が流れる。
翼「なぁ理央。今のことが片付いたら、どっか行くか。」
理「…え?」
翼「まだ二人で出かけたことなかっただろ?」
よくよく考えれば、理央と付き合ってもうすぐ2ヶ月だというのに、まだ二人でどこにも行ったことなかった。
理「行きたい!!翼、ありがと!!」
そう言うと理央は俺に抱きついてきた。
俺もそんな理央を抱き締め返す。
翼「決まりだな。なら、さっさと片付けねえとな。」
理「うん。楽しみにしてる!」
俺は理央から少し体を離すと、そっと理央の唇にキスをした。
翼「また明日迎えに来る。」
理「うん!また明日ね。」
そう言ってマンションに向かう理央を最後まで見送った後、俺もバイクに跨り再び倉庫に戻った。
†翼 side end†