☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
「魔法って、あんまし便利じゃないの?」
ヒカリが誰に言うでもなくそういった。
自分に向けられたと思ったのかテルはうーん、と微笑む。
「便利には便利だけどねぇ。魔法って、所詮は科学の延長線上なんだよ。最初に悪魔が使いこなしたから魔法なんだし」
「そうなんですかぁ…」
杖を構えてチチンプイーみたいなものかと思っていたのに、意外と難しい。
そのとき、ヒカリはそうだ、と思い出した。
「一つ、ずっと気になってたことあるんですけど…」
ワドがふらふらしながらキッチンへ向かう。
キングが全く、といったようにワドに駆け寄り、何か言っている。
そしてヒカリは遠慮がちに切り出す。
「こっちの人って、こんなイケメンと美女ばっかなんですか?」
ブッとテルが噴き出して、聞いていたウィングとキースもごほごほせき込んで、シルンはぱっと頬を赤らめて。
全員ワドを見た。
「…」
視線に気づいたワドはくるりとこちらを無表情に注視する。
見つめあって数秒、テルがあー、と切り出した。
「まあ…綺麗な奴は多いかな、特に悪魔とか数千年前に容姿改革が進められてほぼ全員遺伝子整形を受けてるし…先祖が才色兼備の奴が多かったから祖先もこうなるよ。でもさ、ヒカリちゃん…」
一泊置いて真剣にテルはヒカリを見た。
「いい?ワドくらいのイケメンは冗談抜きで誰もいないから」
あいつ基準にすんなよ、といわれてカクカクとヒカリは頷くのだった。
「…」
「ワド、よかったな」
「…俺のどこがいいっていうんだ」
「まぁ、あえて言うとだな」
キングはクスクス笑った。
「全部」
ワドは首をかしげて二度瞬きをした。