☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
「なんだって?俺の名前が聞こえた」
ウィングがひょこっと顔を出した。
「お前の後輩が来てるんだと」
「は?後輩?」
「先輩って呼んでたぞ?」
「ああ…それは後輩じゃないよ。あー…なんつーか…弟?」
「弟」
ワドがそのまま繰り返す。
テルは首をかしげてウィングを見た。
「義弟?」
「いや、そういうことじゃないんだけど…」
「俺たちに害はないのか」
「あ、そのことなら大丈夫だよ、ワド」
「キース」
「え?お前も知ってるの?」
キースがひょこっとウィングのわきから顔を出した。
「うん。僕からはちぃにぃだけど」
「ちぃ…?」
「にぃ。ホントの兄弟だったら年子のお兄ちゃんなんだけど」
「へ?」
「孤児院で生活してたのか」
つぶやくようにワドが言った。
雨が降ってきてもおそらく同じような反応が返ってきた気もするけれど。
「俗に言うそういうもんなのかな」
キースが肩をすくめた。
「そんなに大したものじゃなかったけどね」
シェアルームに近かったかな、とクスクス笑った。