☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-

「シルンちゃんはどうしてこの船にいるんですか?」

「んーとね、ワドに脅されたからかな。いろんな奴に追われてたし」

「脅され…!?」

「いいのいいの」

腰まで伸びる輝くような髪をたなびかせ、てへ、とシルンが笑った。

ぱちんと片目をとじて金色の瞳がパックリ開く。

「私こんな目でしょ?だから呪われてるとかいろいろ言われてたの。ワドはあの時からかっこよかったなぁ…」

ものすごく幸せそうに微笑んだシルンにヒカリは苦笑する。

「なんか私はあんまり…なんか…冷たい気がするんですけど…」

「そ、それが狙いなの。ワドの」

ずぃぃぃぃっとシルンはヒカリに顔を近づけた。

鼻と鼻が触れそうになってぐぐっとヒカリはのけぞる。

「イケメンだから性格に難があっても女の人が寄ってくるの。でも私はワドかっこいいんだと思うけどなぁ…」

シルンを追い払うためになっただけなんじゃと思ってみたけれど、あの聡明そうなワドがそんなこともわかっていないとは思えないし、そんなことはないんだろうけど…

「あれ?なんか言ってない?」

ふぁさっと芝生を揺らしてシルンが動く。

ぺったり座り込んでいたシルンは一度あおむけになって地面を強く蹴って逆立ちしてからバク転で起き上がった。

「いこ!!」

…自慢?


「ワドー!!」

「…はい」

「誰その人?」

「…ウィングに聞いてくれ」

「やだ」

「ちょ、シルンちゃん…」

どんだけ露骨なんだろ…
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