☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
「…ったくもう。あんな声出しやがって」
まだ引きずってやがんのかあいつ、と今にも泣きそうな船内放送を睨みつけるテル。
「何かあったの?」
「別に」
そっけない返事を返されてキースは傷ついたような顔をしたが、すぐに微笑んで言った。
「いつか本人から聞くよ」
「ちなみに俺らは一週間かかった」
ふて腐れたようなテルにフフフとキースが笑った。
「そういえば、綺麗な人だね、ワドさんって」
「ワドは通称だぜ?ほんとはワインレッド」
「そうなの?」
「俺はパーティーゴールド。そのなかのパーティーの“テ”とゴールドの“ル”でテル。シルンは“シ”“ル”バーレイ“ン”ボーでシルン」
「なるほど…で、キングさんは?」
「俺はないない」
おとなしいのに好奇心旺盛なキースをヒラヒラかわすキング。
くくく、と笑うテル。
肩を竦めるシルン。
ウィングはそれを観察していた。
「なあキース、絵、絵かけよ!」
「せっかくだからワド描きたいなあ」
「芸術家にも贔屓されてやがる!!よーし、後でからかってやろうウヒヒヒヒ」
ウィングはそれを観察していた。