☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
身の振り方とは言っても、まさか地方(?)に飛ばされるのではないだろうけど、ヒカリが不安を覚えるのには十分すぎるにっこりだった。
笑っているのに不安になるってどんな人だ。
「いやさ?まさかこの船に一生置いとくわけにはいかなわけよ」
「んん?こいつは先輩のなっかまってわけじゃないのか?」
一人部外者のサシェが不思議そうに言った。
「そやけど黙っとき」
ぴしゃり、とウィングが言い放つ。
なんだこいつ後輩にえらいつめてぇなぁとテルはちらっと思ったが、まあいいや、とスルーした。
過去になんかなかったらおかしいくらいの腹黒だもんな(笑)。
「どっかの星で降ろすっきゃないけどさ。なんか色々ついて回るし」
テルは気持ち憂いげにそう言ったが、ヒカリは別に、と肩をすくめる。
「大丈夫だよ、世間わたりは上手な方っぽいし」
ねー、とシルンが割り込みうん、とヒカリも頷く。
「いっそ天界とかいっちゃったら?いいとこなんでしょ?」
キースにそういうシルン。
「そうだけど…うんまあ、寛容ではあるよね」
「そっだよ、お前一緒に来ればいい」
サシェがそう言ったが、ウィングの睨みでしゅんとしてしまった。
「黙っとき、サシェ。おどれが口突っ込むとこちゃうやろが」
何語だそれ、とテルが笑う。
「キングはどー思う?」
「俺は別に。俺の意見はまともじゃないだろ」
「んなこと言った?」
「言った」
「んー…じゃあいっか」
あはは、とテルがまた笑い、でも結局はヒカリちゃんの判断ねーとケラッと言った。
「どーする?どっかの星でバイバイか、天界に行っとくか。魔界でも可だよ」
「それはないですね、論外です」
ゼロがふう、と食事に一区切りつけて言った。
「魔界は恐ろしい学力社会です。賢く美しく血統正しくがモットーの魔界ではヒカリさんは生きていくことさえ難しいでしょう」
それにヒカリさんは差別が嫌いなようですしね、とゼロが笑した。
「差別で成り立っている魔界になど…居たくもないのではないですか?」
自嘲のようにそういって、ゼロはガツガツステーキを食べ始めた。
…なぜステーキ。
「んー、じゃあ魔界の線はなしということで。どうしたい?天界か、どっかの星か、そのまま死ぬか」
「え!?」
「ああ、結構多いんだよ。もとの世界に帰えれないって知ったとたんに死んじゃうやつ。ま、それも自由だと思うし。どうする?」
「え、と…帰るって…あー…地球、に?」
「うん。無理っ!」
てへぺろ、とそう笑い、テルはどーすんの、と言った。
「好きなよーにしなよ。つってもヒカリちゃーん、気配を消せるその能力、無駄にして死ぬにはちょっと惜しいかな、俺にしたら」
「そんな、死にたくないですけど…!」
「じゃあどうすっかきめてねー。ちなみにだけど」
俺らと一緒にいるってのは無理だから。
「ワド、ちょっと手合わせ願うー」
「…はい、了解いたしました…」
「嫌?」
「全然」
じゃあよろ、とテルは駆け出した。
後を追って、ワドも走った。