☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
ダン、と強く蹴った地面に黄色の亀裂が入る。
「業火…地上花火」
眼下を埋め尽くす赤い炎がワドの真紅の瞳を不気味に照らした。
「おい、真面目にやれよ」
「…移動魔法…浮遊」
瓦礫から飛び出す石の破片がテルを襲った。
「…物足りないなー!真面目にやれよっ…!」
華麗にそれを避けるテルに、ワドは槍に全体重を乗せて一気に狙った。
「冷火…凍結」
凍る空気を裂いて、ワドが突っ込む。
ギン、と音がしてワドの槍の切っ先は弾かれた。
いや、弾かれるのではなく、テルの短剣の上を滑り、方向が変わった。
「…」
大きな土ぼこりが舞い、ワドは一瞬目を閉じ眼球を砂から守る。
そのすきをついて、テルが仕掛けた。
「新星!」
ギン、と衝撃の波紋が広がる。
ワドはギリ、と歯を食いしばった。
「支配ま」
テルはバックステップで飛びのき、強く地面を蹴る。
「彗星!」
「ウォールガード…」
ギイン、という音と共にワドの目の前で結界がはじける。
テルの進行方向と垂直に跳躍し槍に巻き付くようにして前転したワドは勢いのまま壁状に結界を張り、足で結界を強く蹴って槍を構えた。
「火炎」
赤と青の炎が槍に巻き付く。
テルは受けると同時に後ろに飛び、衝撃をほぼゼロまで殺した。
時折火の粉が飛び、明るい炎がテルとワドを照らした。
上から切りかかったテルをワドは槍を短く持ち後ろ側で受け、自分の腕を支点にてこの原理でそのまま縦に回転しながら炎をまとわせ叩きつける。
切っ先は深く地面に亀裂を入れた。
横に飛んで避けたテルは近くの建物に飛び上がって屋根からナイフをクロスに構え切りかかる。
ワドは槍の後ろを緩く持って滑らせ衝撃を減らし、槍を投げて自分も飛び上がり、押し込むように突いた。
テルの足がギシッときしむ。
テルは顔をしかめて受け流し、懐に飛び込んで肩を狙った。
ワドはギリギリのところで槍を軸に回転し、かわす。
足を付けると槍を引き抜きふっと息を吐いた。
すかさず切りかかるテル。
ワドは薙ぎ払いの勢いで横っ飛びに避け、片手をテルに向けた。
「うわっ!!」
途端に絡みついた大気がテルを縛る。
ワドは間合いを取りながらひゅん、と横に槍を振った。
バシャリ、と黄色のマークが首筋に刻まれ、テルは膝をついた。