☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-

「先輩よっり強いの?」

サシェがじわ、と呟いた。

「そやけどなんやねん。わてかて宇宙一とちゃう」

「…そうっなの…」

サシェは裏切られたような悲しげな顔をしたが、ウィングは軽くにらんでため息をついた。
「まあええわ。サシェより強いのは確実やしな」

「ん…!」

哀しげに笑って、サシェは頷いた。

「んじゃ、俺戻るわ」

「先輩にっついていく」

「おっけ。俺は軽く復習しとくから」

「僕もここにもう少しいるよ」

結局ウィングとサシェだけがメインルームへ戻り、他は歩き出したテルについていった。


「キース」

「…え?何?」

「良かったのかよ、あいつ知り合いなんだろ?」

「ああ、いいんだ。サシェにぃはウィングの"信者"の一人だし。はたから目的はウィングなんだよ」

「信者?」

シルンが不思議そうに聞き返す。

キースは言ってなかったっけ、と呟いて言った。

「…ウィングってすっごく人気あったんだよ。今でこそ外面がいいっていうことなんだろうけど、あの頃は本当に…何て言うか…」

「英雄ってか、神様?」

テルがつまらなさそうに言う。

「うん、それに近かったかな。優しくて、強くて真面目で。うーん…カリスマ性、みたいなものかな」

それに魅せられたんだよ、僕も含めた全員が。

その時その家にいた全員が。

ウィングとあった人が。

全員、ね。

< 119 / 161 >

この作品をシェア

pagetop