☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
「先輩よっり強いの?」
サシェがじわ、と呟いた。
「そやけどなんやねん。わてかて宇宙一とちゃう」
「…そうっなの…」
サシェは裏切られたような悲しげな顔をしたが、ウィングは軽くにらんでため息をついた。
「まあええわ。サシェより強いのは確実やしな」
「ん…!」
哀しげに笑って、サシェは頷いた。
「んじゃ、俺戻るわ」
「先輩にっついていく」
「おっけ。俺は軽く復習しとくから」
「僕もここにもう少しいるよ」
結局ウィングとサシェだけがメインルームへ戻り、他は歩き出したテルについていった。
「キース」
「…え?何?」
「良かったのかよ、あいつ知り合いなんだろ?」
「ああ、いいんだ。サシェにぃはウィングの"信者"の一人だし。はたから目的はウィングなんだよ」
「信者?」
シルンが不思議そうに聞き返す。
キースは言ってなかったっけ、と呟いて言った。
「…ウィングってすっごく人気あったんだよ。今でこそ外面がいいっていうことなんだろうけど、あの頃は本当に…何て言うか…」
「英雄ってか、神様?」
テルがつまらなさそうに言う。
「うん、それに近かったかな。優しくて、強くて真面目で。うーん…カリスマ性、みたいなものかな」
それに魅せられたんだよ、僕も含めた全員が。
その時その家にいた全員が。
ウィングとあった人が。
全員、ね。