☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
「嫌なもの?」
「色々と。なんか、裁判でもあったのかな、僕らより2つか3つくらい上の男の子が引っ張りまわされててさ」
「引っ張りまわされて?」
「吸血鬼の子だったんだって。ウィングに聞いたら。酷い言葉を浴びせかけられて目隠しされて。石とかなんだか投げつけられて血まみれになって」
「…ひっで」
「…吸血鬼っていうのは差別されてますから。常に」
顔をしかめたテルにゼロが哀しげに微笑む。
ヒカリは信じられない、と口の中で呟いた。
「それって人種差別でしょ!?どうしてそんなこと…!」
「魔界は行きすぎた差別社会、天界は行きすぎた平等社会なんだよ、ヒカリちゃん」
キースが辛そうに言った。
「そう言えばワドって悪魔なんだよね?あんなに頭がいいのにどうしてあそこまで自虐的な性格してるんだろ」
「…ま、あいつは結構馬鹿なとこあるしな」
テルがケラケラ笑ってそういって、パン、と大きく手を叩いた。
「よっしゃ!今回の教訓は、無言魔法に気を付けろ、だな!」
「だから使って来ないって!ワドくらいだよ使えるの!無駄だよその教訓!」
「いいのいいの。無駄な教訓なんてないっ!」
胸を張ってテルが笑うと、全員がつられて微笑んだ。