☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
「…買い物か」
降りたところでワドが目の前に現れた。
何故か民族衣装風のゆったりした衣服を身に纏い、大きなフードを被っている。
首に輝く十字架がどこか不思議な雰囲気を出している。
「うん。ワドもいく?」
「…いや、俺は商売だ」
「商売?」
「この島はガラスを輸入してる…食器を売ったら高く売れるはずだからな」
キースは、とワドが言う。
「ウィングと一緒に買い物。偵察待ってなかったから」
「そうか。ああ、買い物なら持っていけ」
そういってワドはカードを差し出す。
「100万ドル入ってる」
「え!?」
「…アメリカドルじゃないからな、1ドルは1yen相当だぞ」
「ああ、そうなんですか、ビックリした…」
なぁんだ、たったの百万じゃない、ヒカリは息をついてさぁっと青ざめた。
「ひゃ、百万ドル!?」
しかもかなりポンと出した…
どんな人なの!?
「…」
「あー、ワドまたすごい金渡したろ~!」
「…買い物にいくって言うから、ここでつかえるカードを渡しただけだ」
「百万じゃなくてせめて五万が限度だろ」
「…いいだろ、俺のポケットマネーだ」
「余計駄目だよ。収入の0.1%しかもってっかねーくせに」
船が金で沈みそうなんだけど、と楽しげにテルが言った。
「え、どういう…」
「こいつ収入の70%船にまわして29.9%くらい俺に差し出すの。しかも水晶とか貿易的な利益は半々で俺と船にまわすし。船の維持費から食費、修理費は全部ワドが出すし。星につくたんびに百万単位の通貨くれるし」
馬鹿だろ、とテルが肩をすくめた。
「んで金がないって働くし。倒れるし。なんか変な闇金に手出すし。挙げ句、右の肺売るとか言い出すし」
「仕方がな」
「どこがだよ。まず収入全部持ってけよ。んで維持費とか船から出せよ。そんで一緒に行動するときあれこれ奢るのやめろ」
どうやらワドは闇の世界にドップリ浸かっているらしい。
「…」
物凄く不服そうに黙ると、ワドはクルリとヒカリの方を向く。
「金銭面の援助は惜しまない。望むなら一生高級ホテルで遊んで暮らせる額をやる」
「こら!それ船から出せよ!お前が出すなよ!」
すたこらさっさと逃げていったワドに、テルはため息をつく。
「ま、唯一の救いは一応相談してくれることだけどな」
行ってこいよ、楽しめ、とヒラヒラ手を振って言ったテルはまたのんびり浜辺で寝そべった。
「あんまりいると日焼けしない?」
「いーの、俺あんま焼けないタイプだから」
サングラスをかけて、ぐーすか昼寝をしだした。
「…いこっか、ヒカリ」
「…うん」
二人は町に向かった。