☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-

「そうかみつくな。次の星の鉱山に何か有効なものがあったら持って帰ってもらおうと思って」

「ヤダ」

「なぜだ。よっぽど俺といるより…」

「それよりLさんが私を連れて来る必要性を感じることができません…」

「何をいうんですか。貴方は研究員だから」

「…あのですね…能力は私が及びのしないほど貴方が上なんですよ…」

「お世辞もほどほどにしてくれ。貴方以上の頭脳は所長以外にいない」

「いい加減にしてください…いつもいつもそうやって私を引きずり回すんですから…」

こいつもある意味被害者だな。

そうテルが思う。

用は自分の能力、容姿を全く自覚していないワドが自信がないから連れて来るようだ。

しかもいつもいつも…

「しかも私は研究員ではありません…」

「その資質がある」

「下ろされたこと知ってるんですか…」

「安心しろ。俺が直接訴えるから」

「自分の意思でやめさせていただきました…」

「変に圧かけられたんだろ」

「違います…」

ワドもなかなか頑固だ。

テルはだんだん相手がかわいそうになってきた。

「なあ、結局なんて呼べばいいの?だってよ、コードネームもうねえんだろ?」

「そういえばそうですね…迂闊でした…ゼロ・ブライドです…」

「じゃあブライド?」

「いえ、ゼロと呼んでください…私に家族はいないので…」

「オッケ、ゼロね」

「いい名前だよな、ほんとにいつ聞いても」

「…知ってたんですかLさん…」

「ああ」

「…」

おそらくどこからも漏れる心配のなかった情報なのだろう。

テルは心からゼロに同情した。


「きゃあああああああああ!!!」

「どうしたシルン」

「いやぁぁぁぁぁぁ!!!」

「私が嫌われてるようですね…」

「こっち見ないで不潔!!!」

「いいのか」

「気にしないで下さい…」

「1番の原因はな、その肉だよ」

「鹿肉ですよ…」

「食い方に問題があるんだよっ!!」

「今流行ってるんですよ…」

「ミーハーかっ!やめろこっちじゃただのキチガイだこの野郎!!!」

見た目と肉の食べ方(あえてモザイクをかける)が気持ち悪いのでシルンがドン引きだ。

というかこの体のどこにはいっていくのだろうか。

「シルン、おはよう。俺の先輩だよ」

「後輩です…というか先輩かもしれませんが貴方の方が能力ふわっ」

「かっこいいだろ」

「気持ち悪い」

口を塞がれたときはなかなかかわいい声だが逆効果。

惚れた弱みでシルンはどうやら友好的な“生物”(もはや人間として認めていない)に近寄らざるを得なかった。

「い、いばいれず…あごあくらけまぐ…」
(い、痛いです…顎が砕けます…)

どうやらすこし押さえていた手がずれ異常な腕力で顎が締め付けられたらしい。

かわいそうに慌てて離されたもののギシギシとなっていた顎はだいぶダメージを受けたようで車に潰された蛙のようにピクピク倒れてうごめいた。

さすがに我慢できなくなったのかシルンが背中からギュッとワドを抱きしめて震え出した。

「無理…生理的に厳しい…」

「そう嫌うな。見た目は覚醒剤の副作用だ」

「いやぁぁぁぁぁぁ!!!」

「どうしたシルン」

余計に取り乱したシルンはガクッと膝を着いた。


「何の騒ぎだ?」

「あキング!!」

「もう人と会いたくありません…」

腹黒カウンセラーはにやりと笑った。
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