☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
「はじめまして…フフフ…どうしたんだ…フフフ…お兄さん…ククク…」
「あの、どなたですか…」
「いい人だよ…フフフ…」
全くいい人感がない。
「かえらせていただいても結構ですか…」
「いいだろ。たまには」
「Lさんの成長は嬉しいですが私は帰りたいです…」
「だめ…か」
しょんぼりからの上目遣いでゼロを見るワド。
「L君…わかりました…用事が終わったらすぐ帰りますからね、本当に帰りますからね…」
溜息を山のようについてゼロが渋々了解する。
「そういえばこれお土産です…拉致寸前に持たされたんですが…いりますか…」
「いらない」
「なんかこの人かわいそうになってきた…」
だんだん壊れていくワドと困っているゼロ。
ニヤニヤしているキングを見てシルンは心からゼロに同情した。
というか何でこんなに懐いてるんだろう。
話し方からしてワドは相当長い間この男と一緒にいたんだろうけど…
「ところで何でワドのことLって呼ぶの?」
「ああシルンさん…彼の元々のコードネームはセブティーンthアルファ…位置づけはファストサブ…プリンスとも呼ばれるんですが…彼の幼さでリトルがつきリトルプリンスと呼ばれていました…」
「それってすごいの?」
「研究所ナンバー2です…並大抵の頭脳ではなれません…」
「へー」
「リトルプリンスがいつかリトルとプリンスのPでリトルPになり…さらにリトルはLになってLP…Pが抜けてL…とそういうわけです…」
「雑!?」
余りの連想ゲームにテルが叫んだ。
「お土産…」
「いらない」
「ごめんごめん俺がもらうから…」
「ありがとうございます…」
そういうとゼロは空中に何かばらまきパチン、と指を鳴らして言った。
「魔法解除…」
「!?」
山のように積み重なった自称お土産。
「何だこれ!?」
「Lさんの写真集らしいです…」
一冊取って裏を見てみるとなんと明らかに通常価格の十倍。
こんなに高くて誰が買うんだと思ったが、ゼロ曰く今はもっと高いらしい。
「Lさん…あれほどメディアに顔をさらすなと言ったのに…」
「研究所の近く歩いてたら声かけられたんだ。で、着いていったらいろいろ着せられて…」
「次から帽子かフードを被ってサングラスをかけましょうね…」
さぞかしゼロも苦労してるんだろうな。
テルはジーッとゼロを見た。
「俺は何で売れるかさっぱりわからない。見せてもらったんだがその場で吐いた」
「…そうですか大変でしたね…」
なかなかあしらい方は参考になるな、そういってテルは気の毒そうにゼロを見た。