☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
「おはようさーん♪」
「あー、ウィングー」
「ん?その目つきの悪すぎる兄さんは?」
「ゼロ・ブライドだって。ワドの知り合いみたいだ」
「で、何で鹿の躍り食い?」
「何でいうのよわざわざ避けてたのにこのKY!!」
まあまあとシルンを押さえ込むキング。
そのまま回収されて行った。
「へえー、兄さん薬やってるのか?」
「…今はしていませんが…能力の治療に…」
「楽しい?」
「最悪ですよ…おすすめはしません…」
というか絶対にやらないでください、とゼロが疲れたように言った。
「体が全く使い物にならなくなります…」
「ふぅん」
「何して遊ぶ」
「あなた十五ですよねもうすぐ…お人形ごっこでもするんですか…」
「分かった」
「冗談ですよ…」
もういやだといいたげにあしらわれて傷付きもしない。
「ところであなたのお名前は…天使さん…」
「あ、俺ウィングね!ヨロッ^_^」
「あーはい…」
濃い隈のせいで落ちくぼんで見える眼球はじっとウィングを見つめている。
「そうだLさん、N…じゃなくて所長がこれを渡せとい」
「ウサギか。それともク」
「ただでさえキャラ壊れかけてるのでここで壊すのはやめましょうね…」
光のない瞳でずいっとゼロを見て、ワドはその手に現れた包みを凝視した。
「ちなみにうさぎです…」
「ありがとうございます」
「…」
綺麗な一礼をしてせっせと包みを裂いていく。
条件消失魔法がかけられた包装紙は几帳面にはがされた後、完全に中身から離れたところで消えた。
「え」
ウィングの引き気味の声。
ほぼ同時にワドはそれを抱きしめた。
「名前は」
「ふわりです…」
真っ白な毛の可愛らしいウサギの縫いぐるみは嬉しそうにうつろな微笑みを浮かべていた。