☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
次の朝、例にたがわずいちばん早起きなワドがふわりを連れてメインルームに。
右手でしっかりと抱き留めて左手で顎下をくすぐる。
一日たったのでフルフル嬉しそうにふわりがうごめいた。
「…すまないな、今から掃除をするんだ…構ってやりたいのはやまやまなんだが少し待っていろ」
「ぴゃぁっ」
…本当にウサギなのだろうか。
「本当に、ふわふわなんだな、お前は」
「ひみゃあ…」
「大丈夫だ、すぐ戻るから」
「ぴゃっぴゃっ!!」
「ご飯は置いていくから、な?」
「ふみゃ…」
「かわいいやつ」
最後に小さな耳をぺこっと折ってまたたてた後、わしゃわしゃ毛を撫でてワドは優しくふわりを地面に置いた。
「…」
ふわりは、少年が去った後を見つめる。
こくっと小首を傾げてそのあと芝生を少し食べた。
軽快に野原をかけていくと突然透明のテーブルが現れた。
見上げてみると中心には四角錐の形ををした不思議な個体が入っている。
それは宇宙のコンパスなのだが、ふわりはそれを知らない。
六つあるそれをしばらく見た後、ふわりは赤い花のほうへかけていった。
ちょうど満開なのか、ひらききった花たちは競うように小さな花を開いている。
いくつかしぼんでしまった花の香りをかいで口に入れると、なんだか変な味がして顔をしかめて吐き出してしまった。
さらにかけていくとまばらに生えた木々の間にブランコやハンモックがある。
切り株の上で一休みした後、ふわりは人の気配を感じてそちらへかけていった。