☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
「…」
正気に戻ったワドは相変わらずの無口っぷりで魔力揺らめく星へ降り立った。
「なんかいい感じやなぁ…」
「この星の中心部に魔導石があるからだ」
「それで魔力が満ち満ちてるんだね」
「ああ、そうだ」
「魔導石って、魔力っていうのを放出する水晶のこと?」
「そうだ。真空には空気の壁がないからどこかにあるといわれている魔導石の原石の魔力が直接届く。たいていの星には大気があるからそれで届かない」
「で、何が目的なの?」
「この星に派生している水晶の収穫だ」
「Lさんは本当にいい子ですね…」
「ありがとう」
ぶっきらぼうに言ったワドはずかずかと歩き出す。
陽炎のように揺らめく視界に戸惑うことなく足を踏み出していくワドは少し速足だ。
「待ってよワド!足長すぎだって…!」
「…すまない」
一度足を止めてシルンを待ち、そしてまた歩き出したワド。
テルはウィングとキースでその後を追った。
「なんや、二人はお留守番かいな」
「ん。水晶保管庫に入れなくっちゃいけないだろ」
「なるほどね」
穏やかにキースが笑った。
「…さて、と。サンプルはこれだ。この五種類、すべてこの地帯に派生している。探してもってこい。以上だ」
「ちょい待ち!なんやこれ、ほとんどみたことないでぇ!?」
「当たり前だ…といったら多少語弊があるな。水晶なんだから多少なり魔力がある。それでいろいろな種類があるんだ」
「ほうほう」
「いちばんポピュラーなのはこれだろう。療治系の魔導石だ」
「ああ、見たことはあるなぁ」
「ほかにもそれぞれ戦闘系、変質系、支配系、移動術系、創造系とある。ここにあるのは創造系以外だ」
「なーる。サンキュ、じゃ行こうぜキース!」
「はぁーい」
「魔法陣!」
宙に現れた魔法陣は激しく回転し、飛び込んだ二人を異世界へ送った。
「俺たちはそのあたり探そっか」
「了解」
「…」
敬礼を返すシルン、無言で頷くワド。
示し合わせたかのように三人は同じ方向へ歩き出した。