☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
「山のようにあるなそれこそ」
「うん、そうだね」
腰のサバイバルナイフで無遠慮に文字通り狩っていくウィング。
キースはそれを運び出す。
「なあ、あいつらいいやつだと思うか」
「思うよ、僕は」
「ま、そうだよなぁ、キース君はよ」
「いい人たちだよ、安心してウィング」
「ちょっと異常性があるけどな。特に副船長」
「そういうこと言わないでよ、とっても優しいんだから」
「悪魔科だぜ、あんま気ィ抜かないほうがいい」
「そうかな、分からないよ」
あのおかしな話し方はすっかり抜けきり、ウィングはイライラと狩って行った。
「ウィング、あのね」
「また説教?」
「そうじゃないよ、ただ…」
「ウィングも人を信じろってか?そのせいで俺は家族を失ったのに?」
「…ねぇ、まだ憎んでるの?」
「あったりまえだ。あいつらはもう、覚えてないだろうなぁ。人ってのは都合の悪いこと全部忘れちまう」
「あんまり」
「俺はさ、もう子供じゃない。汚い世界を見た。その記憶は消えないし、癒えない。誰も信じない。信じたら負けだよ、キース」
「そうなんだね、ウィングは」
「ああ、俺に近づく奴はみんな道具だ。俺の」
「…」
寂しそうに口を閉ざすキース。
ウィングはワドのような、それでいて棘を感じるような冷たさで見られないように笑んだ。
そうだよ、俺は誰一人信用することはない。
所詮他人は、蹴落とすための動く土台だ。
裏切られたなんてお前は言うかもしれないけどさキース。
お前だって、俺のアクセサリーなんだよ…
片足を失ったキースを連れて歩くウィングは、皮肉気に言った。
「なぁ、キース?副船長、いつか拉致るよ俺。で、売る」
「ウィング…!」
キースが咎めるようにウィングの名を呼んだ。
「誰にも言うなよ?俺はお前を“信じてる”からな!」
「うん…わかってる」
大嘘だ。
ウィングは皮肉気に笑う。
親友なんて、結局は他人なんだよ…天使ちゃん。