☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
「あのですねキングさん…やめてくれませんか…」
「その肉食うのやめたらな」
「…私から唯一の楽しみを奪う気ですか…」
「こっちからしてみれば目に毒なんだけど?」
「そんなこと知りません…」
ボールペンを何げなーく頸動脈付近に滑らされてゼロが身をよじらせる。
その衝動で(犠牲にされた動物の)足の先がキングを引っ掻きイラッとキングが笑う。
「死んでしまえ」
「最低です…」
至極最もなことを言ってゼロは頭を抱えた。
「そうだ、ワドのことLって言うのはなんで?」
「いいましたよ…」
「だからさ、ふつうPとかでしょ?プリンスなんだから」
「嫌がらせです…」
「は?」
「あれは、彼が七歳くらいの時だったと思います…」
そういってゼロは懐かしそうにワドの思春期を話し出した。
普段いい子だっただけに反抗期はすざましく、ウィルス研究所の強化ガラスを粉々に叩き割るほどの暴れぶり。
可愛いとも言っていられなくなって押さえ込んだりしていましたが、それは必ず予告状なんかが届いていて。
その署名がLにバツが打たれてたものだったのでLonXとか呼ばれていたんですけど…
彼にしてみれば子ども扱いするなってことだったんでしょうね。
でも可愛いのはどうにもならなかったので余計にリトルリトルと呼ばれ続けて…
結局Lに落ち着いたんですよ。
その頃は彼も落ち着いてきたのでやめてください程度だったんですが…
ちっちゃなLくんなんて言われるとさすがにキレてました。
まぁ、可愛かったんですけど…あんな色男になるとは正直思っても見なくて。
大人になった彼を見た瞬間に全員驚愕しました。
「ちっちゃなLくん!?」
「そうですよ…キレられたりしてました…」
「…」
こいつの苦労がだんだんわかってきた。
キングはゼロに対する殺意が薄らいでいくのを感じた。
「よし!ワドの話をもっとしろ!!」
「横暴です…理不尽です…」
それでも嬉しそうにゼロは話し出した。