☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
「タダイマカエリマシタゴシュジぐぅぇ」
「いやだから許してあげようよ。可哀想すぎるよ」
「そうそう。せっかく現実を受け入れた矢先に記憶飛ばすような真似しないで」
声はともかくセリフにNGワードが入っていたので全自動でキングの手刀がワドの首筋にクリティカルヒットした。
「ここで妥協すると後が大変なんだぜ」
「妥協も大切だと思うよ」
「そうやなぁ。これやと矯正の前にあの世行きやわぁ」
「キングさん、私は応援しているので頑張ってください…」
「おいてめどういう心境の変化だ!!」
「…帰国許可がおりません…なので少しくらい仕返ししても罰は当たらないだろうと推測しました…」
「すんな偏食!!」
「関係ありません…」
そういうとゼロはどこからともなくウサギを取り出し頭からかぶりついた。
「悪魔ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「既成事実を悪口として使うのはやめてください…」
目の前のふわりがゼロの足に噛みついた。
「ねぇワインレッド?」
「…」
「ぼくね、知りたいことがあるんだけど、いいかな?」
「…だめだ」
「ワインレッド、大切なことなんだけど」
「俺にとっては人間界の降水量並みにどうでもいい」
「結構気にかけてるんだね」
キースはそれ以上は問答無用と言わんばかりにワドの服に手をかける。
「やめろ変態」
「ぼくはお医者さんだよ?」
「やめろ。聴診器もかけていないのに触診か」
「あのね、勘違いされるからそういう言い方やめたほうがいいよ」
「それはこっちのセリフだ。盗撮は船長だけで手いっぱいなんだ」
「じゃあ船長は知ってるんだ」
「当然だ。おい、いい加減にしろ手を離せ」
「じゃあ説明してくれるの?」
「お前に説明する義理はない」
「そこまで言うなら服裂いてもいいんだよ?」
「ちょうどいい。ついでに心筋も裂いてくれ。そしてお前は内科医だろう。カウンセラーみたいなことをするな」
「カウンセラーってメス使うの?」
「脅迫道具にな」
浮かんだ金髪を振り払い、ワドは無表情のままキースを直視する。
「ぼくは外科医でもあるし、呪いについても詳しいつもりだよ」
「お前に話すことは何もない。消えろ」
「そうやっていろんな人騙してきたの?」
包帯でベッドに拘束されたワドの両足を見据えてキースは悲しそうにワドに言う。
君も、ウィングみたいだね…
そんなことは言えないけれど。
「あのどっちつかずの天使と一緒にするな」
「…!」
「失せろ」
一瞬、キースは力を込めていた手を放した。
「…」
そして一瞬の後思いっきりワドの着ていた手術着を裂いた。
「僕の勝ちだね」
「やっぱり変態なのかおまえは」
ペタンと長座前屈をしながらくぐもった声でワドが言った。
「ここまで来てそれはない!」
「それもこれもあるか」
ぴったりとベッドに張り付くワドをみて、キースはぷくぅ、と頬を膨らませた。