☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
「起きろ。起きろパーティーゴールド」
「ん…?」
律儀に略称で呼ばないのはこの船には一人しかいない。
テルは未だぼやける視界を無理矢理覚醒させる。
「…おはよ」
「ああ」
相変わらず何の愛想もないああにもう慣れを感じて来ている。
「テルでいいって」
「そういうわけに行くか」
「行くよ」
「…善処します」
まだ主従関係が抜けきっていないワドはたまに敬語で話す。
その度テルが注意をするのだが、ワドはテルがキレるまで使いつづける。
「そうだ、お前ジョソウはできる?」
「どこのだ」
「違う違う除草じゃなくて」
「高跳びか」
「助走でもねえよ」
「命令ですか」
「おいこら敬語」
微かにしまったと言わんばかりに顔をしかめたがほとんど表情は変わっていない。
大きく溜息を着くと同時に起き上がったテル。
傍らにそれこそ召使いのように立っているワドを見てまた頭を抱えた。
「女装だよ女装」
「できる」
「嫌がれよこの御主人様至上主義が」
「至上は駄目ですか…」
「け、い、ご!!!」
「ごめんなさい」
「あやまんなって。んで?」
「できます」
「そっか。じゃあその仲間の特徴言うから引っ掛けてきて」
「…タイプは」
「だから嫌がれよ」
貴方のご命令なら何なりとがモットーのワドはたとえ実験台だろうが女装だろうがさてまた擬似恋愛だろうが人質だろうがサンドバックだろうが受け入れる。
そうだ食料にもなるらしい。
さすがにそれを言ったときは切り殺されかけた。
「ナイスバディーのお姉さん」
「分かった」
パチン、と指がなると金髪の美しい女性が現れた。
同性ですら見とれられるであろう美しさだ。
「Wow!!」
ヒューッと口笛を吹いたテルは嬉しそうに微笑んだ。
「きれーい」
「ありがとうございます」
ペコッとお辞儀をしたワドにテルはにっこり微笑んだ。
一発ノックアウトだ。
間違いないとテルは拳を握った。