☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
正午、連絡が入ってキングが路地に迎えに行った。
案内がなければおそらくたどり着くことのなかった場所にワドはいた。
「わざわざ悪い」
「いいよ。で、鴨は」
「そこだ」
「おいなかなかイケメンじゃねえか」
「知るか」
無造作に転がっている銀髪の少年を見てクツクツと笑うキング。
猿ぐつわに手足を縛られているその少年の上にワドが雑に腰掛ける。
「記憶は消しておいた。俺のことはもう忘れただろう」
「あの美女を忘れたのか?男として可哀相だろ」
「その美女が俺だったときのショックを考えてみろ」
「それもそうか」
すでに絶世の美青年に変わっているワド。
何だか別に変装してなくても引き付ける人数は一緒なんじゃないだろうか。
性別が違うだけで。
「俺が担いでいくからいいよ。袋くれ」
人が入るくらいの袋が欲しいと連絡はあったがまさかほんとに入れるなんて。
「さすがにまずいんじゃ…」
「動かないんだから大丈夫だ」
「…」
キングは本気でワドを殴りつけたかった。