☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
「LaLaLa…」
ポロン、ポロンと美しいハープの音色が響く。
瞼を閉じれば、そのまま天界を思うような、美しい音色。
「やめろよ!死んじまう!!」
長方形の麻布に穴をあけかぶり、腰の部分を鎖で縛っただけの貧しい恰好。
手錠はなく、足かせのはめられた両足。
両手の手袋はなくなって、ブーツも脱がされ、ワドは傷だらけの足をさらしていた。
繊細で傷だらけの指が弦をはじくたび灰色の麻布を血が赤く染め上げていく。
弦に仕込まれた鋭いガラスがワドの指先を切っていく。
歌を歌うそばからこぽこぽと口から血液が流れだし、首筋を伝う。
天使の歌声が響く地獄。
テルはワドを止めようとするも狂ったように、ぜんまいを巻かれたオルゴールのごとく繊細な音色を奏で続ける。
だからアイスが来たとき、テルは眼光鋭く睨み付けた。
「やめさせろ」
「…?」
いっそ冷酷な微笑み。
怯まずにテルはアイスに向かって吠えた。
「ぜってぇ許さねぇからなぁ!!」
「どうぞ。御娘様」
感情の起伏すらなく、淡々と言ってアイスはテルの口に球状のタオルを押し込んだ。
上から細身の縄で縛り、テルはあくびの要領で生理的な涙があふれ出す。
綺麗な音色を永遠奏で続けていたワドはついでとばかりに腹部をけられて呻き、ハープを落とす。
カシャン、と音がして、その瞬間慌てたようにワドは手を伸ばしてハープを取り戻しまた綺麗な音色を奏で始めた。
「LuLuLuLu…」
アイスがぐっとワドの顎を持ち上げ、皮手袋のはめられたままの指を突っ込む。
歌声は止み、変わらずグググとうなるような声がメロディーを奏でた。
喉をひっかかれたのか、ワドは固まった血の塊を吹き出した。
歌声は止まらず、フィナーレに差し掛かる。
その時だった。