☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
「遅かったやないかぁ。あんさん。契約時には二人まとめて5分…ちゃいます?」
「…」
檻の向こうのその声を聴いてテルは舌打ちした。
やっぱりか。
“季節風”
天使科悪魔
クリアス=ウィング
白銀の髪、同色の瞳の14歳。
季節風(モンスーン)のように気まぐれで、「天に愛されたペテン師」とも呼ばれている。
俺がつかまりゃワドが来てくれるだろうかとくらいの気分だったけど、どうやらアイスと手を組んでるところを見ると目的はワドだったらしい。
でもこのパターン、一つだけ甘かった。
“非戦闘員”を忘れてたことだけだけど。
どんなカンケーかは知んないけど、どーせキース君もぐるだろう。
または体のいい“協力者”。
「あーあ、ウィング、お前死ぬぞ~」
「はぁ?何ゆうてんねん。こっちが外や」
そう、外だ。
だからこそ危ないってことに気が付かない…
「!!!」
突然アイスが仰け反る。
一瞬遅くて、なぞられるように斬られた顔からは鮮血が噴き出した。
信じられないように顔に触れるアイスを嘲笑ってテルは言った。
「すげーな!死神に殺されないような反射神経、めったに見ねぇよ?」
崩れ落ちてアイスは気を失った。
「っ」
ウィングは舌打ちして神経を研ぎ澄ませる。
「蜃気楼(ミラージュ)」
ウィングは跡形もなく消えた。