☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
そこは相変わらずきれいで、木々も変わらなかったが、一つだけ違うものがあった。
「なんだか、変なにおいがするよ…?」
川はかすかに赤く、鉄の香りがした。
二人は上流まで飛んでいき、そこで見つけた。
「!!」
悪魔を。
「どうするのお兄ちゃん…」
「とにかく、連れて帰るぞ!」
その悪魔はひどく弱っていた。
ウィングと同じ色の翼、それは深く傷つき、水に浸っていた。
漆黒の髪にはべっとりと血液がへばりつき、深く殴られたような打撲の跡があった。
ウィングは自分の髪が汚れるのも構わず、うまく抱き上げ水から引っ張り出した。
バスケットの中のタオルを取り出して悪魔の水分をふき取り、肩に担いでなんとかかんとか谷を抜け、村に戻る。
クラウドはバスケットを下げたままおろおろしていた。
珍しい来客にむらの人が集まってきて、医者がうまく治療し悪魔は数日の間には意識を取り戻した。
ウィングとクラウドは毎日見舞いに行く。
悪魔はいつも楽しそうに話し掛けてくる二人を、ただ見ていた。
やがて体の包帯も取れて動けるようになった悪魔。
ウィングはクラウドといくつかの果物をもっていつものようにお見舞いに行った。