☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-

初めに気が付いたのはクラウドだった。

「お兄ちゃん、変だよ。なんか、やなかんじ…」

言われてみれば病院の中は閑散としていて、人気がない。

全くないわけではなかったが、どこか冷たい。

「悪魔さん、大丈夫かなぁ…」

クラウドはいそご、とウィングの手を引く。

ウィングは頷いて走った。


「あくまさぁぁぁん!!」

「どぉぉぉぉこでぇすぅかぁ!?」

やがて悪魔の病室の前に来て、二人は言葉を失った。

戸は開け放たれ、中は真っ赤な血で濡れていた。

クラウドはそのまま意識を失い、ウィングはぎりぎりのところで踏みとどまった。

死の匂いが立ち込めて、気持ちが悪い。

ウィングはゴミ箱に駆け寄ってそのまま嘔吐した。

咳と涙と鼻水が一気に出たようで、嗚咽しながらウィングは泣き続けた。

何で泣いたのかは未だに分からない。

ただただ悔しいような、悲しいような、辛いような、恐いような、あらゆる負の感情が一気に押しよせてきて、それに流されるように涙があふれてきた…

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