☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
「不慮の事故として処理するからな。お互い忘れろ」
「…何かが違う」
何とか正気に戻ったテルは涙目のまま床に頭を打ち付けた。
え?
腕が青くなってる?
気のせい鬼のせい。
うん。
「ウソだろ…お前本当に女…?」
「なんて失礼なっ!?女です!!正真正銘の!!!」
「俺の顔に惚れないの…」
「何言ってんのよナルシスト!!」
ワドの見事に斬りつけられたので傷口がきれいだとほめていたのはいったいどちらに向けた言葉だったのか。
なんにせよ何のフォローでもないので二人とも激高した。
きっちりと巻かれた包帯の上を焼くように睨むシルンとショックを隠し切れない被害者。
「そう落ち込むな。俺は綺麗だと思うが。その顔」
「嫌味か!!」
何のことだと首をかしげるワドに悪気はない。
「そよ風に揺れる白銀の髪、整った白い歯に美しい鼻筋。幼い悪戯な銀の目。軽いピアスが背伸びのギャップをうまく作っている。適度に焼けた肌。屈託ない笑顔。完璧な愛されキャラだな。真似できることならしてみたい」
嘘は言っていない。
確かに彼は美少年だった。
ナルシストを差し引いてかっこよかった。
ただ比較対象がワドであれば話は別だ。
もはや好みを超越した美形。
話にならない。
「仕方ないだろう。良くも悪くもこいつはイケメン慣れしている」
「…」
「なぜ俺を見る」
「無自覚にもほどがある!!!」
「…」
シルンにも噛みつかれてそうか、と流してしまったワド。
「…それより、お前の名前だよ。なんて言うんだ?ぼく?」
キングが皮肉を込めていった。
「ああ、そだそだ、俺ウィング!天使だよ天使!!」
「…」
「ふぅん」
「あんたも?」
反応が薄いじゃねえかとわんわん言い出すウィング。
「天使だよ!?天界から来たんだよ!?」
「あ、紹介するわ。ワドは魔界から来た悪魔な」
「マジかっ!!つーか悪魔科!?いいねえスリルがあって」
食いついてきたウィングをあしらうと天使なのか、と逆に聞き返す。
「魔界に偏見があると聞いたが」
「ないないない!!ありえないしぃー!!偏見とか、ははって感じ」
「…そうか」
「なに?そんなのあるの?」
「…ああ、シルン、お前知らなかったのか」
そういってワドがいう。
「方位で言うと東だな。東側にルスタミアス・コールと呼ばれる銀河があるんだ」
ゆったりとクルン、と指を回して空気の球をいくつか作ったワドは、説明モードだ。