☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
そうだ、友達だといわれて喜ぶ人間はいても、飾りだといわれて喜ぶ人間はいないだろう。
キースもそうだ。
きっと今、自分を蔑んでる。
あっけなく、あまりにあっけなく、俺は見捨てられる。
あの日、クラウドを見捨てた、俺のように。
「何だよ!文句があるなら言えばいいだろ?裏切られたとは言わせねぇからな?俺はお前に友達だなんて一言も言った覚えは…」
「ほんと、ウィングは嘘ばっかり」
ほんとだよ、あんだけ言ったじゃねぇか。
聞こえてなかったのか?
このお人よし。
「別にそれでもいいんだけどな、僕は」
「はぁ!?飾りで良いってことか!?わけわっかんね、他に行くとこないならまだしも、この船っていう居場所があんだろーが」
「ほら、ウィング、僕のこと心配してくれるでしょ?だいたいさ」
キースの笑い声につれられて、ウィングは顔を上げた。
「ウィングはまるで僕がウィングに縛られてるように言うけど、誰のそばにいるかなんて、その人が決めることでしょ?」
開いた口がふさがらなかった。
どこまで、いったいどこまでお人よしなんだ、こいつは。
裏切られたことに気が付いてないのか?
こんなに丁寧に教えてやってるのに?
「ウィングって、結構天邪鬼なとこあるよね。すっごく」
素直じゃないんだから、とキースがクスクス笑った。
「最初は、本当に信じれる、裏切られない仲間が欲しかったんでしょ?」
でもいつしか裏切ることが当たり前になっていて。
気が付けば、裏切るために信じていた。
信じてくれていても、信じられなかった。
「もう、探す必要ないでしょ?見つかったんだから」
ウィングの、ほんとの仲間。
求めていたつもりはなかったけれど、勝手に涙があふれてきた。
喉が詰まって、嗚咽が漏れる。
取り返しがつかないことくらいわかってる。
ワドがどれだけ傷付いたかも知ってる。
それでもうれしいのか辛いのかわからない涙は止まらなかった。
少なくともキースは、味方でいてくれるんだろう。
ずっと。
俺が信じている限り。
もうそれだけで十分で、ウィングは糸が切れたように意識を失った。