☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
「ウィング」
歌うようなキースの声が聞こえる。
ハッとして慌ててワドと反対側を見るとキースがいた。
「大丈夫?」
「…」
「あれ、大丈夫なの?」
「ああ」
「よかった!!」
ワドとは違って本当によかった感が伝わってくる。
「ウィング酷い出血だったから…生死の境をさまよってたんだよ」
「そうなんか」
「うん」
にこっと笑ったキースは冗談抜きで慈悲深い天使のようで、涙ぐみそうになる。
「なあ、キース、俺」
「…?」
「ごめん、腕とか、目とか…」
「ああ、そうだね」
「ほんと、ごめんな…俺…どうすれば…」
「いいよ、大丈夫、僕、足もこんなだし」
キースは肩をすくめて微笑む。
その慈愛にあふれた微笑に引き込まれそうになりながら、ウィングは唇をかみしめた。
「そういう問題じゃないんだよっ!」
今回だけは甘えるわけにいかない。
「腕も、眼も、なにか、償いたい…!」
「…」
「分かってるよ、もうどうにもならないことくらい…でも…」
何でもしたい。
「キース、俺、どうすれば…!」
キースは驚いたように一瞬動きを止めてそうだね、と微笑んだ。
「じゃあ、ウィング…」
にっこりとまさに天使のように微笑んだキースはウィングにささやく。
「もう僕のこと、置いてかないで」
「!」
「寂しかったんだよ、すっごく」
確かに、寂しそうな気がしないでもない。
「もうどこにも行かないでね」