☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
「あれ、どしたの、ワド。あいつ吊し上げてくるんじゃなかったのかよ?」
「…いや。あいつも、俺の主人だ」
「あはは、俺もあいつと同レベル?」
「違う、ご主人様だ」
「あは、おもしれー」
「…」
「なんで出てきたよ?」
「…場の空気を察した」
「そつのないやつめ」
「…だが、何が起きたか知りたいというのならリクエストには応えられる」
「なんで?」
「…キースには内緒だ」
ワドはあの茶色の瞳に瓜二つの義眼をとりだした。
「お前な、犯罪だぞ…あいつ医者だからやっただろ」
「そんな下心は全くない。俺は生物として心配になるほど異性に興味がない」
「…自分で言うか」
「お前が見たいというと思って…」
「うん、サンキュ。できればお前が触診受けるときは言って。俺がする」
「…何度言えばわかるのか知らないが、俺はくすぐったいという感覚と笑いがどうしても結びつかない。苦しいだけだ」
「いいじゃん!!限界を超えろ!!」
「…お前がしたいなら拒否はしない」
「嫌がれよ!このご主人様至上主義!!」
「…嫌なのか」
「だまれぇぇぇ!!」
「まあ、できれば全員に仕込みたいところなんだがな…」
「うわぁ」
「義眼…どうだ」
「やだよ。大体なんでつけてぇの?」
「防犯だ」
「あ、そう。防犯カメラね」
「…ああ」
「さっきから返事が遅れてるのは何で?」
「…」
「おーい?」
「映像はリアルタイムだ」
ワドはそういって去って行く。
あとに残されたテルは肩をすくめて微笑んだ。
「ほんと、過保護なやつ」