時代を越えて、恋人になっちゃいました。


「はい 」

「終わったよ! 」

「はえーじゃん」

「まね」


ソウが荷物を持って立ち上がる。
私も旅行カバンを抱え直した。



ソウが呪文を唱えると、私たちの周りに静かな風が起こった。




風がやむ。


目を開けると、そこは隣町の駅前だった。

「ここで待ち合わせてるから」

「分かった。あ、おにぎり食べる? 作ってきたんだ」

「ん? ああ。サンキュ」


私はソウに、少し大きめのおにぎりを渡す。
私たちは立ちながらおにぎりを頬張った。



食べ終わって一息ついている頃、依頼人さんが来た。

聞くところによると、この町の町長さんらしい。

上品に茶色いスーツを着ていて、白髪の目立つ町長さんは、音霧 優作(おとぎり ゆうさく)さんというらしい。

名前は人を表すって、本当なんだね。

音霧さんは、とっても優しい顔で私たちに微笑んでくれた。


「2人とも、はるばるありがとう。私が依頼人の、音霧です」

「初めまして。尾崎 蒼空です」

「土田 翔真です。よろしくお願いします」



音霧さんは私たちを、町内会館まで案内してくれた。




< 105 / 251 >

この作品をシェア

pagetop