時代を越えて、恋人になっちゃいました。
見知らぬ町を、ただひたすら駆け抜ける。
「今何時? 」
「3時50分! 式神も使おう! 」
私は蝶の、ソウは雀の式神をだし、一緒に探させた。
「いるか? 」
「いない! 」
方向感覚がおかしくなり始めた頃だった。
「わああああぁ! 」
男の子の、だけど少し高めな声が響いた。
「いたぞ! 」
男の子の居場所をいち早く見つけたソウの式神が私たちをそこまで案内してくれる。
ついたのは町の外れの小さな空き地だった。
「男の子は!? 」
「いない! 残った気配で占ってくれ! 」
私はさっと占う。
「これは…妖怪が関わってる。それも、かなり手強そう」
「そうか」
男の子は連れ去られてしまった。
だが、収穫はあった。
「とりあえず、なんであの子が外にいたのかを調べなくちゃな」
「うん」
私たちは式神の術を解き、ホテルに戻った。
__さ…みし……だけ…のに……。
「えっ? 」
声が、聴こえた。
切れ切れだけど、確かな意志を持った声。
私はソウに声を掛けた。
「聴こえた? 」
「は? 何がだよ? 」
「……ううん、なんでもない」
ソウは聴いてなかった。
でもあれほどの確かな意志の力を、取り違えるはずがない。
私はもう一度辺りを見回した。
微かな妖気に混じって、さらに弱い神気が伝わってきた。
でも、神気はこんなに弱くないはず。
ましてや妖気に隠れてしまうほど弱いなんて…。
神気が弱いってことは、相手は神様だけど、相当弱ってるのかもしれない。
「蒼空、置いてくぞ」
「今行くー」
ホテルに戻ったら、ゆっくり考えよう。