時代を越えて、恋人になっちゃいました。



ホテルに戻った私たちは、早速今日のことを記録した。


「さて、どうするか」

「うーん、相手の気配は分かったんだけど…」

「信長達にも手伝ってもらおう」


ソウが上様と蘭丸の魂を封じ込めた石を取り出した。

そして呪文を唱える。



私はゴクリと唾を呑んだ。

私はまだ元気だった頃の2人にしか会っていない。


そんな2人がもう死んでしまっているなんて、到底信じられなかった。



「…召喚」

呪文の詠唱が終わった。


次の瞬間、石の周りに静電気が起こる。

それが次第に、人の形を帯びたものへと変わっていった。


「久しぶりだな、蒼空に翔真。元気にしとったか? 」

「っ、上様! 」

「なんだ蒼空、泣いているのか。これ、泣くんじゃない。お蘭の生まれ変わりがこんな情けない女子など、わしは恥ずかしいぞ」

「はっ! 私はもう泣きません。この魂の3つ目の人生も上様の誇りとなれるよう、尽くします」


私の答えを聞いた上様は、満足そうに頷いた。

そしてソウの方へ向き直る。


「翔真よ、元気にしておったか? 」

「当たり前だろ、あんたの生まれ変わりなんだから」

「いい返事だ」


上様が満足気に微笑むと同時に、石から2度目の静電気が起こった。


「蘭丸! 」


出てきたのはもちろん蘭丸。

私はタタッと駆け寄った。


抱きつきはしないけど。



ってか、できないし。


もし、この2人に抱きつこうものなら私たちが感電しちゃう。



「蒼空、元気だったか? 」

「うん!」

「嘘を申すな、蒼空よ。さっきまでメソメソしておったであろう」

「誠でございますか? 蒼空、そうなんだね? 」

「あぅ…。そうです、さっきまで泣いてました」

「まったく、嘘はつくべきじゃない。気を付けなさい」

「はぁい」



若干ふてくされながら私は立っていた場所をソウに譲った。

だって喋りたそうにしてたから。




「久しぶり」

「お久しぶりです、だな」

「石ん中、大丈夫か? 」

「まぁ、だいたいな」


2人の会話はいたって真面目。



なんだか私だけ馬鹿みたい……。



< 111 / 251 >

この作品をシェア

pagetop