時代を越えて、恋人になっちゃいました。
ホテルに戻った私たちは、早速今日のことを記録した。
「さて、どうするか」
「うーん、相手の気配は分かったんだけど…」
「信長達にも手伝ってもらおう」
ソウが上様と蘭丸の魂を封じ込めた石を取り出した。
そして呪文を唱える。
私はゴクリと唾を呑んだ。
私はまだ元気だった頃の2人にしか会っていない。
そんな2人がもう死んでしまっているなんて、到底信じられなかった。
「…召喚」
呪文の詠唱が終わった。
次の瞬間、石の周りに静電気が起こる。
それが次第に、人の形を帯びたものへと変わっていった。
「久しぶりだな、蒼空に翔真。元気にしとったか? 」
「っ、上様! 」
「なんだ蒼空、泣いているのか。これ、泣くんじゃない。お蘭の生まれ変わりがこんな情けない女子など、わしは恥ずかしいぞ」
「はっ! 私はもう泣きません。この魂の3つ目の人生も上様の誇りとなれるよう、尽くします」
私の答えを聞いた上様は、満足そうに頷いた。
そしてソウの方へ向き直る。
「翔真よ、元気にしておったか? 」
「当たり前だろ、あんたの生まれ変わりなんだから」
「いい返事だ」
上様が満足気に微笑むと同時に、石から2度目の静電気が起こった。
「蘭丸! 」
出てきたのはもちろん蘭丸。
私はタタッと駆け寄った。
抱きつきはしないけど。
ってか、できないし。
もし、この2人に抱きつこうものなら私たちが感電しちゃう。
「蒼空、元気だったか? 」
「うん!」
「嘘を申すな、蒼空よ。さっきまでメソメソしておったであろう」
「誠でございますか? 蒼空、そうなんだね? 」
「あぅ…。そうです、さっきまで泣いてました」
「まったく、嘘はつくべきじゃない。気を付けなさい」
「はぁい」
若干ふてくされながら私は立っていた場所をソウに譲った。
だって喋りたそうにしてたから。
「久しぶり」
「お久しぶりです、だな」
「石ん中、大丈夫か? 」
「まぁ、だいたいな」
2人の会話はいたって真面目。
なんだか私だけ馬鹿みたい……。