時代を越えて、恋人になっちゃいました。



「…ぐっ、はっ! 」


まずい、完全に押されてる。



理由はきっと相手の姿をきちんと捉えられていないから。




カミサマはまるで霧のようで、実体をまったく掴めない。



だから対処法も思いつかない。




それに加えて、どうやら私との相性も悪いみたい。


相手の気配から読み取ると、相手も私と同じ火の神と相性がいいことが分かった。


いや、相手は火の神自身なんだろうけど。

私の予想としては、相手は火将の朱雀か騰蛇。


私と相性がいいのも火の神だから、力を打ち消しあってしまって、意味がない。



それにこの熱…。


すごく熱い炎の気配がする。


これから予想される相手は十二神将最強の神将、火将騰蛇。


全てを焼き払う地獄の業火を操る、凶将。




「あぁ、埒あかない…」



だけど、ここで『力』を開放したら、きっと元には戻れない。



「でも、あと少しだけ…」



私はお腹の底に力を込めた。

途端に今までとは比べものにならないほどのエネルギーが、私の中を駆け回る。


「…ぐっ! 」



遠のきそうになる意識を無理やり起こす。



やっぱりあの『力』は私じゃ制御できないんだ…。



でも、少しなら制御できるはず。



己を失わないように、精神を統一させてもう一度敵を見つめた。




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