時代を越えて、恋人になっちゃいました。
『力』を開放したことで、敵をはっきりと捉えることができるようになった。
霧の中から現れたのは、青年だった。
浅黒く引き締まった体。
切れ長の夕焼け色の瞳。
炎のように紅い髪。
ギリシャ神話の中の神様みたいな服。
紅い髪の隙間から覗く金冠。
「…火将、騰蛇……」
「あれ、気付いちゃったんだ」
騰蛇は、少し掠れた声で言った。
「てか君大丈夫? 顔真っ青だし、息もあがってる。そんなんで俺と戦えんの? 」
「当たり前…じゃない」
「本当かなぁ。まあお手並み拝見、といこうか」
言うなり騰蛇は、両手の鋭い爪を自分の顔の前で交差させ、戦闘体制に入った。