時代を越えて、恋人になっちゃいました。
任務完了しちゃいました。
「メシ、来てんぞ」
「はーい」
山菜鍋とやらはホテルのローテーブルにでんと置かれていた。
私は長い髪の水を切りながら、ソウの正面に腰を下ろした。
「食べていい? 」
「ああ」
「いただきまーす! 」
それきたとばかりに、熱々の具を取り皿に山盛り入れた。
「おまっ、さっきまで嫌だとか言ってたくせに、そんなに食うのかよ! 」
「当然! 腹が減っては戦はできぬっていうでしょ! 」
「いや、戦ねぇから」
「いーの! 武士の世はいつも危険だったんだ。ってことはいつもお腹いっぱいにしてないと、戦に負けちゃうだろー! 」
「いや、今は平成。すげえ平和」
「うるさい! ソウもさっさと食べなよ」
「分かってる」
ハフハフ言いながら山菜を頬張る私に比べて、なんてソウは上品に鍋を食べるんだろう。
今までずっと気付かなかったけど、ソウの食べてる姿ってなんかかっこいい。
いや、さっき助けてくれたのもカッコよかったけどさ。
なんていうか、四六時中かっこいいっていうか…。
あー!
なんなんだよ、私ばっかりじゃんか!
だってソウはこんなに余裕。
鍋とご飯とバランスよく食べやがって!
なんなんだろ、惚れた弱みってやつなの?
そんなことを考えていたら、全く私の方を見てくれないソウが憎たらしくなった。