時代を越えて、恋人になっちゃいました。
「あら蒼空ちゃん、早いじゃない。感心感心」
おばさんと父さんだ。
「翔真はどうした? 」
「知らないよ。私は起こしたもん。おばさん、知ってる? 」
「それが翔真が起きるより早く、家を出ちゃってたから分からないのよねぇ。電話してみようかしら」
「私がするよ」
私はウインドブレーカーのズボンのポケットからスマホを出した。
電話帳の画面をスクロールさせて『翔真』を探す。
真ん中辺りにあるそれは、「幼馴染み」となっている。
迷いなくそれをタッチして、電話をかける。
電話は3コールで繋がった。
『もしもし』
「あ、ソウ? 蒼空だけど」
『知ってる』
「あっそ。今どこ? 」
『公園の一番手前の角』
走っているのか、微かに足音が聴こえる。
電話越しのソウの息も、上がり気味だ。
「分かった」
私はそう言って通話終了を選択した。