時代を越えて、恋人になっちゃいました。
私たちがご飯を食べ終わった頃、騰蛇が起きだした。
完全に存在忘れてたけど。
「おう。気分はどうだ? 」
「悪くはないな。よくもないが」
「なんか食うか? 」
「いや、いい」
そう言うと騰蛇はドカリと私たちのそばに腰を下ろした。
「ところで、子供たちはどこにいるんだ? 」
ふとソウが訊ねた。
「ああ、そういやそんな問題もあったな」
いや、あんたが首謀者だろ。
ツッコミたいけど、我慢我慢。
「異空間に全員いるぜ。怪我もいてねぇし、いたって健康だ」
「そうか」
そうだよね。
だって子供たちをさらったのだって、多分ただの遊び相手だったんだし。
「って言うか、騰蛇って子供に怖がられないの? 」
「怖がられるけどよ、異形の姿とってりゃあのぐらいの子供は大丈夫なんだ。もっとちっせえのはダメだけどな」
「異形? 」
「あー、物の怪みたいなんだ」
「なってみて! 」
「あ? めんどくせえなぁ」
「お願いっ! 」
パチンと顔の前で手をあわせると、騰蛇は勘弁してくれよと言わんばかりに顔をしかめた。
「あれ、体力使うんだぜ? 」
ぶつくさ言いながらも騰蛇は立ち上がった。
そしてくるりと宙返りをすると、現れたのは紅い毛に金の目を持つ子狐だった。
「かわいい! 何これモフモフ! 」
「いつもこれなのか? 」
「いんや、普通の狐が本来の俺の異形の姿だ。これはまぁ、子供相手のとき用だな」
「すっごい! さすが騰蛇」
「…どうも」
私の大興奮をよそに、騰蛇は若干引き気味で私の褒め言葉を受け取っていた。