時代を越えて、恋人になっちゃいました。
「父さん、悪い。遅くなった」
「おう。今度から気を付けろ」
「はーい。あ、母さんがご飯だって」
「すぐ行くっつっといてくれ」
「あいよ」
書斎で何かを探しているらしい父さんを置いて、一足先にリビングへ向かった。
「今日は何? 」
「今日はね、ハンバーグよ」
「やった! 昨日は山菜鍋だったんだ」
「そう、美味しかった? 」
「まあまあ。でも私は肉の方がいいなぁ」
「ふふっ。本当に食いしん坊ね」
「いいでしょ、別に」
ぷくっと頬を膨らませて見せると、母さんは笑いながら私のお茶碗に山盛りのご飯をよそってくれた。
「ありがと」
「母さんの分も持ってって」
「はいはい。父さんのは? 」
「後でよそるわ」
2人分の夕飯の支度が整ったので、父さんより先に食べ始めることにした。
「ん〜! 母さんのハンバーグはいつ食べても美味しいね! 」
「本当? そう言ってもらえると母さんも嬉しいわ〜。でも今日はいつもと少し違うのよ。なんだと思う? 」
「うーん。なんだろう? 」
「実はお麩を入れて、カサ増ししているの」
「ほんと!? 全然気付かないよ。むしろふわふわしてて美味しいくらい! 」
「そう、それならよかったわ」
私たちが食後のお茶を飲み始めた頃、ようやく父さんがリビングに現れた。
「あー腹減った。母さん、今日はなんだ? 」
「ハンバーグですよ」
私は入れてもらった紅茶を飲み干してからお風呂に入った。