時代を越えて、恋人になっちゃいました。
審判なんて、いない。
いるのは防具を身にまとい、左手に竹刀を持った、2人の剣士だけ。
「いいか、この試合は時間、本数ともに無制限だ。時間無制限と言っても、部員が来たらやめるけどな」
徳和先輩が面の奥でルールを話す。
その暗くなった顔を面金の隙間からキッと睨む。
当たり前だろ、そんなの。
だいたい審判いないのに、どうやって本数と時間測るんだよ。
「分かりました」
面の中でくぐもった自分の声が、道場に響いた。
「それではいくぞ」
私たちは形式に則って、挨拶、蹲踞をし、竹刀を構えた。
私は中段の構え。
徳和先輩はなかなか珍しい、上段の構えの剣士だ。
高身長の徳和先輩には良く合うのだろう。
とか言って、私の方が何十倍も強いんだけどね。
「始め」
落ち着いた先輩の声が聞こえた。