時代を越えて、恋人になっちゃいました。
かれこれ1時間近く経った。
もうほとんどの部員も顔を揃えているはずだ。
だが、まだ私は1本も取られていなかった。
「ンダァァァア! 」
徳和先輩がドウを出す。
その竹刀を巻き取って私はコテを決めた。
周りからは悲鳴のような声が聞こえた。
そりゃそうだ。
今の部長が、たかが1年生にボコボコにされてるんだもん。
たかが1年生、されど1年生。
私はそんじょそこらの1年生じゃないんです。
おあいにく様。
ついに先輩が片膝をついた。
私も面を外して、先輩と対峙する。
「おまっ、強えのな」
先輩は面を取りながら、荒い息で言った。
「…そうですね」
もちろん、私の息はまだ切れてない。
蘭丸との練習の方がまだ、キツかったからね。
「ちったぁ遠慮しろよな、先輩相手に」
「ずっとしてましたよ。これまでも、今の試合も」
「なっ…」
「私が手加減なしで先輩とやったら、多分先輩に攻撃すらさせませんもん」
「俺は…攻撃を出してからお前に取られてたな」
「はい。そうなるようにしましたから」
「なんだよ、全然勝ち目ねぇじゃん」
立ち上がった先輩と向き合い、挨拶をして1度道場を出た。
後ろから徳和先輩もついてくる。