時代を越えて、恋人になっちゃいました。
「ちわー」
とりあえず荷物を置こうと道場へ足を踏み入れたはいいけど、なんだか嫌な空気。
「あ、尾崎! 」
部長の風沢先輩がやってきた。
「ちわ」
「おう。それより福澤たちを止めてくれないか? 今長渕と揉めてるらしくて…」
はぁ? めんどくさいなぁ。
どうやら現場は道場の奥の女子更衣室らしい。
だいたい女同士の戦いにすら首を突っ込めないなんて、なんて情けない男なんだ。
だけどこの人モテるんだよなぁ。
モテ男を敵に回すと、大勢の女までも敵に回す羽目になりかねないか。
仕方がない。
「分かりました、なんとかしましょう」
「本当か? 助かる! 」
「その前に、先輩方はなにが原因で揉めてるんですか? 」
「いや、それはその……」
なるほど、風沢先輩絡みね。
「大方、人間関係と言ったところですかね」
私がそう助け船を出すと、先輩はほっとしたように頷いた。
「そうそう、確かそうだった。なんとかできそうかね」
「大丈夫です」
おそらく、福澤先輩とその取り巻きの先輩たちは、風沢先輩のファンかなんかなのだろう。
もしくは恋愛感情を抱いているか。
だけど長渕先輩が風沢先輩と仲良く話してるのを見つけちゃって、ああ大変。
てきな感じかな。
ま、いいでしょう。
早く練習をするためには、早い解決が1番。
私は長渕先輩たちがいると思われる、女子更衣室へ入っていった。