時代を越えて、恋人になっちゃいました。
「おい、お前の母親が呼んでるぞ」
「何の用か聞いて」
「飯だって」
「いらない」
「おい、飯ぐらい食えよ。筋肉つかないぞ? 」
「いい。もういらない」
「あのなぁ…」
千煌の呆れたような声を、無視する。
だって、筋肉ついて、剣道やったって、私が女々しいのは変わらないじゃん。
それに、いくら私でも、だんだん男の子には勝てなくなっちゃうんだよ?
『力』をいつでも解放できるわけじゃないし。
だったらいっそ、もうやめちゃおうよ。
部活停止になったことだし。
それでいいじゃん、きっと楽だよ。
「いいわけ……ねぇだろ! 」
ぶわりと緋色の闘気が湧き上がる。
と、次の瞬間、私は千煌に無理矢理起こされ、そのまま殴り飛ばされた。
「俺ぁお前が女だろうと何だろうと、手加減する気はねぇ」
家にいる間は子狐の姿を取ることが多い千煌が、本来の姿を取っていた。