時代を越えて、恋人になっちゃいました。



「お前は確かに女だよ。俺と闘った(やった)ときみたいに、あの『力』を使っても限度がある。だけどお前は…! 」


千煌はざんばらの紅い髪をかきあげた。

額の金冠が露わになる。


「優しかった。あのときも、今も」



千煌の夕焼け色の瞳が、細くなった。


「お前は弱いから優しくしかできないやつじゃない。強いから優しくできるやつなんだよ」


私は殴られて熱を持った左頬を、そっと押さえた。


涙が、溢れる。


「お前は強いよ、きっとこの世の誰よりも」


千煌がぎこちなく、口角を上げた。




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