時代を越えて、恋人になっちゃいました。
千煌が、励ましてくれている。
寂しがり屋で強情な、火将騰蛇が。
「さ、お前の頬を冷やしに行こう。明日腫れるだろうなぁ」
「っ、千煌がやったんじゃん」
涙が声に混じっているけど、気にしない。
だって、前に立っている千煌だって、気にしてないから。
「悪かったって。あ、そうだ」
千煌が屈んで私に目線を合わせる。
千煌の夕焼け色の瞳に私の顔が映っている。
「俺のこと、千煌って呼んでいいのはお前だけ。あの幼馴染みに教えるなよ」
「なんで? 」
「俺は主人にしか名前を呼ばせないようにしてるんだ。それか主人になる予定のやつかな」
「ふーん」
千煌が立ち上がった。
そして懐かしい人を思い出すように、遠くへ目をやった。